チキと名乗った少女は、私たちにこう話した。
「(チキ)妖魔クエンガー様はこの世界の歴史上から、からあげという概念を消し去った。それなのに、人の心の全てはまだ変えられずにいる……からあげへの想いのかけらだけは、まだ拭いきれてない。そう、からあげの下に敷くペーパーに油のシミが残るように……」
「(カラット)いやな例えするじゃん……」
「(チキ)だから、「からあげへの思い入れ」が持つエネルギーを悪意に変えて、鶏肉に粉をまぶしてカラっと揚げるという行為そのものを頭の中から追い出す。それがクエンガー様がボクに与えた使命!」
なんて恐ろしい使命……ひどい!
そう叫びかけた私よりも、先に動き出したのは……
「(辰田)許せへんやで! カラっとジューシーなからあげについつい食べすぎてしまうこと以外の罪は何もないのに……! ウチが成敗したる!」
「(カラット)辰田さん!?」
濁点の付き方から、数字がひらがな1文字に変換できると推測する。2文字の都道府県をあてはめていくと、「123456789」=「あかさたなはまやら」と変換した時に「なら」「やまがた」「さが」ができることが分かる。答えは「あらたななかま」。